うつの再発を止めるためのポイントとは。
最近、様々な企業を訪問していてよく担当者からお聴きすることは次の言葉です。それは、
「再発が止まらない。どうしたらいいのか」「医師がOKを出しても、それでよくならない。医師のレベルとビジネスの現場が求めるレベルの差を解決したい」
以上のような声が、ビジネスの現場では非常に多いのです。それはなぜかというと私が思うには、次の二つのことが原因だと思います。
1.うつなど、メンタル不調の本当の原因がわかっていない事。
2.よって本当の対策が取れていない事。
1から説明しましょう。
もともと今の精神医学の出発点は、フロイトから出発しています。フロイトは19世紀末から20世紀初頭に活躍した
精神科医です。彼は精神分析を行い、人間の心理を研究していました。
私は思うのですが、これはその後の人間心理分析研究に大きな貢献をしたのですが、ある意味、皮肉にもこれがそもそも現在のメンタルの混乱を作っている一因ではないかと思います。なぜかと言うと、フロイトが研究した「無意識」の世界は、だんだん「物語」的な解釈の方向に進み、それはそうかもしれないけれど、客観的に見て事実かどうかよくわからない世界を扱うようになっていったからです。
たとえば、フロイトは無意識の表れとして夢の分析を重要視しました。たとえば、ステッキや傘などとがったものは
男性性器の象徴であり、それは何かが抑圧されたものの象徴として表れる、と言うような解釈です。
医者がこのような無意識の世界を扱う、ということが現代社会ではどのような意味を持つでしょうか。医学とは、本来、客観的な世界を扱います。たとえば、酒を飲みすぎると、肝臓の数値が上昇するので、この薬を飲み、酒を控えるという指導をすれば、肝臓の数値は元に戻りますよね。
このように客観的な事実をもとに指導するのが医学なのです。しかし、医者であるフロイトがあつかった世界は、ある意味、医学ではありません。客観性がないからです。私は思うのですが、彼が純粋な心理学者だったらよかったと思うのですが、医学と心理学が混ざってしまったことが、現在のメンタルをわからなくさせている原因ではないかと思うのです。
よって多くの企業に行くとわかりますが、現在、精神医学はお医者さんによって言うことがバラバラで、復職判定の判断もなんとなく不明確で、そして、復職できるという言っているのにOKには見えない、など、よくわからない世界になってしまっているのだと思います。
メンタル不調に陥る原因を客観的な事実をもとに判定する、という視点が現代の精神医学には乏しいとおもうのです。しかし、一般人である我々は、お医者さんというのは科学的な診断をする人、というような勝手な思い込みがあり、ここが精神医学に対する過度な期待や誤解を生んでいると思います。
なので、メンタルの問題はよくわからない世界になっていき、よくわからないので再発を繰り返すのです。
わけのわからない説明なのに、薬だけは飲むことになる、という訳の分からない世界に陥っていくということがあるのではないかと思います。
現在、こうしたことの反省からか、脳科学などの分野からメンタルの問題を研究する、という研究分野が進んできていて、メンタル不調を脳の疾患である、と説明する研究者も現れてきました。
しかし、我々メンタルトレーニングに携わっているものから見ると、メンタルの問題を従来の脳科学の世界だけで説明するには、無理があると思っています。
なぜなら、「心」というものが「脳」や「体」全体に与える影響を、従来の脳科学だけでは説明しきれないからです。
たとえば、メンタル不調の方は、脳の前頭前野の血流量が低下している、とか、脳内神経伝達物質の乱れが生じることが原因だ、などの説明がありますが、そもそもなぜ、前頭前野の血流量が低下するのか、脳内神経伝達物質の乱れが起きるのか、という根本原因に対して、脳科学だけでは説明がつかないからです。
ここには、ストレスと言うものがそもそも何なのか、脳や身体全体ににどういう影響を与えるものなのか、心と脳はどういうふうに関連するのか、という研究がなければ説明できません。
これを行っているのが、我々脳科学メンタルトレーニングです。脳科学という名称にしていますが、免疫学、遺伝子発現学、行動科学、心理学、を総合的に組み合わせた作り上げられたメンタル療法で、筑波大学大学院・人間総合科学研究科の宗像博士によって作られたものです。
筑波大学にはカウンセリング学部がありますが、このメンタルトレーニングは、カウンセリング学部から生まれてきていないのです。心を科学する、という、人間総合科学の分野から生まれてきているのですね。今までの分野とは全く違う背景から生まれてきていることがお分かり頂けるでしょう。
メンタル不調とは、脳内の情動の発電装置と言われる、大脳辺縁系の中心部にある扁桃体の異常な興奮によって引き起こされます。そして、この扁桃体の慢性的な興奮が、副腎皮質ホルモンの慢性的分泌や脳内の免疫細胞からの炎症性物質の分泌を促し、脳内炎症を引き起こすのです。
これが我々脳科学メンタルトレーニングが、つかんでいるメンタル不調の正体です。
では、対策とは。そうです。扁桃体興奮をさせなければよいのですね。
しかし、今の企業組織は、扁桃体を発火させる組織になっているのです。詳しくは次回のブログに書きますが、ここに多くのご担当者が気付かれると、メンタル対策の根本対策がわかるのですね。
扁桃体は、顔表情によって興奮します。また、声、身ぶり手振り、などの非言語の信号によって興奮します。
「何を言われたか」ではなく、「どんな表情や、声のトーンが組織内に存在しているか」に、敏感に反応するのが扁桃体なのです。
ということは? そうです。 穏やかな声、動作、表情。こうしたものがいつも存在する組織こそが、メンタル発症者を大幅に減らす組織になるのですね。
それは一体どんな組織なのでしょうか。詳しくは次回のブログに書かせていただきます。
扁桃体の記憶に大きな影響を与えている、記憶イメージの書き換えを行うと慢性ストレスは消え、自動的にセロトニン、ドーパミンなどの快感
物質を自分で出せるようになり、私たちは笑顔で囲まれて生きていたという記憶を持てるようになって、そのことで身体ストレス感覚は消え、
うつストレス、生きにくさなどの問題が消えていくのです。
2013/11/24