ストレスがあることがうつの原因ではなく、扁桃体興奮を止める方法がわからないことが問題なのです。
今年10/20のテレビ番組「NHKスペシャル 病の起源 うつ病」でも放映されたように、今、世界のあちこちの科学者によって、うつの原因は脳内の「扁桃体」がストレスで興奮するためだ、という研究がなされていることが紹介されていました。
やっと、心というものが体の機能と一緒に説明され始めてきているのです。
扁桃体説をとっているのは、日本国内では私のセラピーの師匠である、筑波大学名誉教授・宗像恒次博士が最先端だと思います。なぜならそうした研究を30年前からしているからです。
私も17年前から先生について習い、実践しています。
よくいろいろな企業に行くと、メンタルヘルス対策として残業時間の多い人をチェックして、残業時間の多い人を医者に面談させるということをしていますが、我々の研究では残業の多い少ないは、あまり関係ありません。
むしろ、残業が多いということはどういうことかと言うと、本人が「助けを求められない」「アドバイスを頼めない」「適度に断れない」「指導を頼めない」「本音で人とかかわれない」というパーソナリティ特性が強いことから、誰にも助けを求めず、チームで仕事をするのではなくたった一人で頑張りまくり、そのおかげで残業が長くなる、というパーソナリティ要因の方に原因があることがわかっております。
その結果、燃え尽き倒れるわけです。
ではなぜ、率直に自分の気持ちを言えなくなるかと言うと、それは、扁桃体が興奮しネガティブ情動が発生し前頭前野の血流量がダウンする事が原因です。
扁桃体が興奮する原因は二つあり、
1.扁桃体には苦手な人の表情でマイナスの情動を発生させるという特徴があること
つまり職場での人間関係で扁桃体が興奮している事。
2.職場で発生する、音、声、皮膚感覚で感じるもの、におい、など、非言語の情報が頭頂葉と言う場所の神経で情報統合され、共感覚現象によって脳内で表情映像が作られ、そのネガティブ映像によって扁桃体がネガティブな反応をし、ネガティブな情動を発生させることで、1と同じようなことが起きるためです。
職場で大きな声を出す人がいる、とか、威圧的な雰囲気な人がいる、とか、ピリピリとげとげ信号を出す人がいる、とか、そういう人やものの存在で扁桃体興奮をするのですね。
扁桃体が興奮すると、率直な気持ちを言えなくなり、これがうつを作り出すのです。
ですから、薬をいくら飲んでも、うつを治すことにはつながりません。なぜなら薬を飲んでも、「言える人」になるわけではないからです。
いくら休職して、薬を飲んでも「言える人」になるわけではないので、再発を繰り返すだけになるのです。
言える人になることが、再発を止めるということになります。
ここは私は、うつになった人にも、医療側双方が大きな誤解をしているのが今の日本の現状だと思います。それは薬を飲めばうつを「治る」と思っているという誤解です。
どうしてもつらい時はしょうがない時もあると思いますが、それは夜がねむれない時が長期間続くとか、気力体力が消耗してまともな生活ができないとか、そういう時に限りましょう。
そうでもないのに、安易に薬を飲むのではなく、その事象は私たち自身が自ら成長のための課題を拒否していることになり、同じメンタルダウンを繰り返すことを意味しています。
なにが言いたいかと言うと、残業が多いとか、仕事のストレスが多い、とかは実はうつの原因ではない、と言うことです。
自分自身が、自分の気持ちをはっきり言うことでそれらの問題は解決できるのですが、自分自身の扁桃体が興奮しすぎることで、言えなくなってしまうために、1人でストレスを抱えてしまい、ダウンするということになるのですね。
なので、その人の成長課題であるということに気付くかどうかが、うつ解決の本質であるということなのですね。
私自身もうつになったときは、父によく似た人にきちんとモノが言えず、そのことでまったく未経験のことをたった一人で仕事の手配をするために、莫大な時間がかかり、そしてミスをし、職場中の人から怒られダウンする、と言う経験をしたのです。
仕事にストレスはつきものです。ストレスが悪いのではなく、そこにある気になること、懸念、課題を率直に周囲の人と共有することが苦手な自分がいるために、引き起こされるのですね。
それができればストレスは、自分自身が成長できるきっかけになるのですね。
扁桃体の興奮を止めれば、今まで苦手だった人も前で苦手意識が消え、思ったことを言える自分になっていけるのです。そういう成長ができるんだということを知る人が増えるといいなと思います。
扁桃体の記憶に大きな影響を与えている、記憶イメージの書き換えを
行うと慢性ストレスは消え、自動的にセロトニン、ドーパミンなどの快感
物質を自分で出せるようになり、私たちは笑顔で囲まれて生きていた
という記憶を持てるようになって、そのことで身体ストレス感覚は消え、
うつストレス、生きにくさなどの問題が消えていくのです。
2013/11/17