なんども休職を繰り返す人に行うある効果的な方法とは。
私は企業と契約してうつで休職している人に対して、復職支援の
メンタルトレーニングを行っています。何度も休職・復職を繰り返
す人がいますね。
この場合、脳科学メンタルトレーニングでは、まず最初に行うこ
とがあります。それは・・・、
「今の仕事がしたいのか、したくないのか、またはしたくないけ
ど割り切れるか、をはっきりさせる」ということ。
実は、「周りの評価を気にして働く」心理傾向が強い人がメンタ
ル不調に陥ることが筑波大学名誉教授・宗像恒次博士の研究で明確
になっています。たとえば「自己抑制型行動特性尺度」という心理
テスト(20点満点)が、11点取るとうつリスクが高まります。自己
抑制とはどういう意味かと言うと、「周りの顔色をうかがい、自分
を殺して相手に合わせる」という心理特性のことです。
うつになる人は、この心理傾向が非常に強いのです。小さい時か
ら「周りに気に入られるように自分を殺して行動する」生き方が身
にしみこんでいるということです。
この心理特性がしみ込んでいると、就職自体をそもそも「周りの
評価」に合わせてしているために、自分自身の内側から「生きるエ
ネルギー」「意欲的に働くエネルギー」が自発的に湧いてこず、し
かもやりたくもない仕事のプレッシャーをかけられて、メンタルダ
ウンすると言う状態に陥るのですね。
メンタルダウンとは、そもそもキャリア選択のミスが引き起こし
ているという側面があるのです。
よって脳科学メンタルトレーニングでは、その人本来の「キャリ
アチョイス(キャリア選択)」を明確にする、ということを行うの
です。選択肢は3つになるのです。「やりたいのか」「やりたくな
いのか」「やりたくないけど割りきれるのか」。
このことを明確にせずに、ただたんに薬だけ飲んでいたり、休職
したりしても、根本的な部分が解決しないので、メンタル不調を何
度も繰り返すことになるのです。企業にとっても本人にとっても不
幸なことになっていきます。
自分にとって適したキャリアがわからないので、メンタルダウン
を繰り返す人が非常に多いと思います。企業も困りますよね。無理
やりクビにできない訳ですから。
しかし「やりたくない」ということが明確になった場合には、本
人自ら退職することもあるのです。そのことによって、企業側にと
っても本人にとっても、わけのわからない復職・休職を繰り返すと
いう不幸な状態に終止符を打つと言う意味で、ハッピーな解決にな
るのですね。
「やりたい」ことが明確になったり、「やりたくないけれど割り
切れる」ということが明確になった場合は、そのまま仕事をやれる
わけです。
わけのわからない心理状態が続いているので、復職・休職を繰り
返す、という状態になるのですが、本人にとってのベストなキャリ
ア選択を明確にさせるということを通して、繰り返しを止めること
ができるのです。
しかしやりたいか、やりたくないのか、ということは実は、本人
にはまったくわからなくなっているのです。なので、「どうなのか」
と詰問しても本人は答えられなくなっていることが普通です。
なぜかというと、それは脳内の感情発現を担う「扁桃体」という
部位が、苦手な人に対して過剰に興奮して前頭前野がハイジャック
され「感情的に支配されているために、冷静な判断ができない」状
態に陥ってしまっているからです。
傾聴・共感カウンセリングや認知行動療法などの通常の心理療法
では、この扁桃体興奮を止められません。
扁桃体は相手の表情に反応しますが、この反応が激しすぎて、「恐
怖感」「申し訳なさ」「私はどうせダメという無力感」「あきらめ」
などの、強いネガティブ感情を発生させ、自分自身のことがわからな
くなって、相手に言われるがままの行動をとってしまうのです。
しかし本人の潜在意識としては納得していないので、悩み苦しむ
わけですね。
どんな表情に激しく反応するかは、その人の3歳までに決定された
感受性なのですが、扁桃体興奮を鎮静化させるというメンタルトレー
ニングを行うと、「あ、自分はこの仕事をやりたい」または「やりた
くない」ということに気付くわけです。
「扁桃体興奮」を止めてキャリアを明確にする、ということを通して
メンタル不調を解決するという脳科学メンタルトレーニングの導入を
検討されませんか?
2013/11/09